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―純と恵
「ただいま」
「おかえりなさい」
「お姉ちゃん、とちょっといい?」
「何?」
「今日はどこに行ってたの?」
「えっ?」
「高谷さんの大学に行って、高谷さんに話をしたんでしょ」
「‥‥‥うん‥‥‥」
「お姉ちゃんは今のぼるさんと付き合ってるんだよね、 それなのに高谷さんにつきあいたいって言ったの?」
「・・・・・・うん・・・・・・」
「それって2人と付き合うって事?最低の行為だと思わない?」
「・・・・・・違うよ・・・・・・」
「高谷さんから、もう2度とこないでほしいって釘を刺された」
「・・・・ごめんなさい・・・でも私が好きなのはかっちゃんだけだから・・・・・・」
「どうしたの? 好きなのは高谷さんで、でもあの人と付き合ってるの?
ここ最近おねえちゃんらしくない」
「・・・・・・え?・・・・・・」
「高谷さんとつきあってた頃は高谷さんの前ではデレデレだったけど、それ以外はしっかりしていた、でも今はもう最低最悪」
「・・・・・・違う・・・・・・」
「ちゃんとして、ちゃんと責任もった行動とって!!」
「・・・・・・」
部屋に戻った純は、もうどうして良いかわからなくなっていた。
ベッドにうずくまって
いろんな事を考えた、だんだんと克己の事を思い出す
「かっちゃん、ごめんなさい、違うんだよ、ねえ許してよ~」
結局眠れず次の日もベッドの中、
ずーっと「かっちゃん、助けて~」、
恵が大学から帰ってくると、純の部屋から声が聞こえるので行ってみると純は昨日のまま、枕にうずくまって
「かっちゃんーーごめんなさいーー」
夜も、両親が帰ってきても、部屋から出ず
それが1週間近く続いた。
仕事もドタキャン、のぼるが純の家を訪ねると、恵が出てきて「あなたのせいで姉がこうなったんです。母と相談して事務所にはこちらから連絡しますので、姉にはもう近づかないでください」
と言って断わった。
どうしようもなく、高谷に連絡する、
「恵ちゃん?もう純の事は電話しないでくれる」
「すみません、実は姉が、あれからずーっと部屋に閉じこもって 高谷さんの名前を呼んでいるんです、1度だけでかまいませんので来ていただけませんでしょうか」
「でも、バイトで忙しいから」
「バイトが終わってからでもかまいません、 1週間部屋にこもりっきりでほとんど何も食べず、食べてもおにぎり1個くらいしか食べてくれなくて、お願いします、このままだと死んでしまいます」
「わかったよ でもバイトが終わってからだから、早くても夜11時くらいになるよ」
「はい、来ていただけるんでしたら、何時でもお待ちしております」
高谷はいつもの通り、塾のバイトで小学生たちを相手に、そして生徒を駅まで送り、あと片付けをして。
湯鬱な気分でバイクで純の家に。
ピンポン「高谷です」「どうぞ」
ガチャ「お待ちしておりました」
「純は?」
「自分の部屋です」母親も一緒に迎えてくれた。
「うんわかった」そう言って純の部屋に入ると、純がボソボソと「かっちゃんーー ごめんさい」
「苦しいよーー 助けてかっちゃんーー」
克己はかつてよく座っていたようにベッドに座り、純の肩に手をのせ「純、来たよ」
純はビクっと震えてから首を横に
「うわ~ん、かっちゃ~ん」
泣きわめきながら克己に抱き着く
「ごうぇんなふぁーい、 ごうぇんなふぁーい」
胸に顔を埋め大声で泣きながら抱き着くので、しょうがないから克己はしばらく背中をポンポンして、純が落ち着くのを待つ。
克己が来てくれ、自分を受け止めてくれる、いつもの克己に匂い・・・少しづつ落ち着いて泣き止む。
克己の顔を見上げ「かっちゃん」と言っていきおいよく唇にキスをしてきた。
克己は、この唇はきっと彼氏とキスしていた唇だよな、と思うと気持ちわるくなってきたが、今はこういう状況なので我慢するしかなかった。
純はさらに先に進もうとしてくるが、俺と別れて、あいつとそういう関係になってるかもしれないと思うとその気にはなれず、純の肩をつかんで一旦引き離した。
「かっちゃん?どうしたの?」
「純、もうこの体はのぼるさんのものなんじゃないの?・・・・・・いやだよ」
「違うよ、そんな事してない、この体、かっちゃんのままだよ」
「そう?でも、彼氏はのぼるさんなんでしょ」
「違うよ彼氏じゃない、ちゃんと別れるから、 許して お願い、かっちゃん」
「まず落ち着こうか」
「うん」
「純、なにか食べた?」
「ううん、なにも食べてない」
「じゃあ、 まずなにか食べてから話そう」
「うん」
「恵ちゃんになにか頼んでくるよ」
「かっちゃん、行かないで、離れたくない」
「大丈夫、ちゃんと戻ってくるから」
そう言って下におりて 恵ちゃんに
「スープかおかゆみたいなものってある?」
「スープならすぐ用意できます。」
「じゃあ、それを願い」
「はい」
それをお願いしてまた純の部屋に戻ると、純がきつく抱きしめてきた。
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