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純のお見舞い ー2日目
「柴田先輩? 1人ですか?」
「ああ、高谷か」
「はい」
「どうした?」
「いや~、3限まで時間があるんで寄ってみたんです」
「それにしては早くないか?」
「はあ、いろいろありまして」
「そうか、なんか顔色が良くないぞ」
「はあ、柴田先輩も早いんですね」
「まあな、家にいても何もやる事がないんでな」
「そうなんですか」
「まあ1人暮らしは寂しいもんだよ」
「1人暮らしなんですか?」
「ああ、実家は静岡だからな、高谷は実家みたいだな」
「はい、どうしてわかるんですか?」
「先週の高谷の元カノの件でな、長澤と西尾に聞いてね、やってきたんだって?」
「はい」
「芸能人らしいな」
「はい」
「高谷はすごい女性と付き合ってたんだな」
「まあ、もう振られましたけど」
「あー、ごめん」
「いえ」
「ひょっとして、それで顔色が悪いのか?」
「まあ、そんなとこです」
「まだひきずってるのか?」
「はい」
「君みたいな人間に、すぐに切り替えるってのは難しいよな」
「はい」
「そういう私も、まだ引きずっているからな」
「そうなんですか?」
「ああ」
「今は?」
「今は1人だよ、なかなか切り替える事ができなくて、次に進むにはちょっとな」
「そうですよね」
「ああ」
「聞きたいか?」
「差し支えなければ」
「うん」
「高校2年の時に、ちょうど同じクラスで席がとなりになった男子がいてね、それで話すようになって仲良くなったんだ、彼はとても頭が良くてとてもやさしい人でね、趣味の話や、勉強の話、私の合気道の話も聞いてくれて、とても話しやすくて、だんだん気になってね、それで私から告白したんだ。
そうしたら、向こうも私の事が気になってたみたいで、それから付き合うようになってね、
2人で受験勉強しながらデートしたりして、彼も東京の大学を受験する事になって一緒に東京に来て受験したんだけど、彼は希望する大学に落ちて、地元の国立大学に進学したんだ。
あとは、遠距離恋愛の別れるパターンだよ。1年生の時までは続いたけど、春休みに実家に帰ってみると、向こうに彼女ができていて、おしまい」
「相手に別に好きな人ができたところなんか、俺と似てます」
「そうか?」
「高谷はどうだったんだ?」
俺は2年の時知り会う時から振られるまでの話をした。
「そうか婚約までしていたんだ、それはショックだな」
「はい」
「でも、その男は結構クズだな、まあ彼女も天然というか軽いというか・・・・・・ごめん、悪く言うつもりはなかった」
「いや、 いいんです、俺もそう思ってますから」
「じゃあ今度ふられた者同士で飲みにでも行くか?」
「いいんですか?」
「何が?」
「いやあ、俺なんかと」
「良いに決まっているだろ、何か問題でもあるのか?」
「いや、 だって柴田先輩ってすごくモテるから、皆、柴田先輩と飲みに行きたがってますよ、俺と行ったら他の人達に何を言われるかわからないですよ」
「そんなの気にするな、それとも私とじゃあイヤか」
「いえいえ、柴田先輩に誘ってもらってうれしいです。是非お願いします」
「そうか、じゃあ今度連絡するよ、RINE交換するか?」「ぜひ」
いつのまにかお昼になってしまい、時間がないので学食に2人で、
「なんか注目されているようですね」
「そうか? そういうのは高谷の方が慣れているんじゃないのか?」
「まあそうですけど」
「いや、ごめん、また思い出させてしまって」
「いえ、大丈夫です」
「そうは見えないな、あまり無理するな」
「はあ」
まあ純と一緒にいた時も同じような視線は感じていたから、慣れているといえば慣れている。
2人ともハンバーグ定食、さすが柴田先輩 その食いっぷり、良いな~
食べ終わって、それぞれの教室に、俺はこの後用事があるからまっすぐ帰る旨伝え
バイバイ。
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