大学生活

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純 ― 後悔   かっちゃんが行ってしまった。 もう戻ってくれない、この部屋に来てくれない・・・・・・ なんて馬鹿な事をしたんだろう。 最初は立花さんが「これから一緒に仕事していくんだから、のぼるって呼んでよ、僕も純って呼ぶから」 って言われ何も考えず了解した。 それから普通に名前で呼ぶようになって、今までより親しくなった感じで仕事がしやすくなったと思った。 他に何の意図もなかった。でも恵からその事を言われてハッと気づいた、かっちゃんも同じ事思っていたんだ。思慮が浅かった。 仕事が終わって帰ろうとしていた時に、彼が『良い雰囲気のお店があるから行かない? 気に入ったら彼と一緒に来れば?』って言われ、連れて行ってもらい、その時は今度かっちゃんと一緒に行こうと思っていたけど。 いつも彼氏は?って聞いてきてくれるし、相談に乗るよって、言ってくれて、よいお店があるからどうせならそのお店で話そうか、って言われて連れてってくれる。 ある時は夕食でも食べながら彼の話でもっ、て言われて、 「こんなお店で2人で食事したら良い思い出になるんじゃない?」って言われて、今まで行ったことがないようなおしゃれなお店に連れて行ってもらって舞い上がっていた。 親切で優しくて、彼氏の事も相談に乗ってくれ、夜も遅くなったので、ちゃんと家まで送ってくれうれしかった。 大人の男性ってやさしくて、いろんな話題でいろんなことを話してくれるから、とても楽しかった。 のぼるさんは大人で恋愛に詳しいし、話が面白かったから、とても親切で、ちゃんと彼氏の事も相談に乗ってくれるし、のぼるさんに連れて行ってもらったカフェに一緒に行って、のぼるさんとの話をすると、かっちゃんはちゃんと話を聞いてくれた。と思っていたけど、かっちゃんが来ても気づかず、おまけに彼氏に別の男性の話ばかりしてして・・・・・・その人といるのが楽しいって、そんな事されたら、そんなのイヤに決まってるのに・・・・・・バカだ。 ふと気が付くと、かっちゃんとは2ヶ月くらい会っていなかった、でもかっちゃんは忙しいって、私は大学と仕事があって、そのことものぼるさんが親身に相談に乗ってくれた。 最初、かっちゃんが忙しくて会えないって言われた時、会えないからREINを一生懸命打っていたら、昇さんが 「これから大人になって結婚したら、残業とか出張で会えない時もあるし、会社の人と夜遅くまで飲む事もあるんだから、そういう時、そんな長い文章のREINなんかが奥さんから来たら、重いって思われて、引かれるよ、そんなのイヤでしょ?」 「・・・・・・はい」 そんなこともあって気分転換にっていろんなお店に連れて行ってくれ、おしゃれなお店で晩御飯もご馳走してくれて、少しくらい会わなくても大丈夫って言ってくれ、だから気にならなかった。 だって婚約してるんだし、のぼるさんも当然のその事を知ってるし、ちゃんとその相談にも乗ってくれてるんだから。 やっと会える、いつものように一緒に ・・・・・・かっちゃんが家に来てお母さんに婚約解消の話。 突然でびっくりして、でもかっちゃんに言われて、恵に言われて初めて気が付いた。 私がバカだった。恵にも言われたけどRINEしてもいつも通りと思っていた、でも・・・・・・ そうだいつもだったら私が「会いたい」、「会いに来て」って言えばかっちゃんは何があっても来てくれた。忙しいからって・・・・・・ 私もあの人のアドバイスを聞くようになってからいつのまにか「会いに来て」と言わなくなっていた。 連絡しようとしたけど、拒否されていたので慌てて恵に頼んで、かっちゃんに来てもらってあやまったけど・・・・・・もう遅かった。 かっちゃんは、彼といるのが楽しいんだったら、彼にその事を話してみれば自分の気持ちがわかるっていうから、彼にその事を言ったら、『じゃあお試しで僕と付き合ってみて、それで、『付き合ってみたけどやっぱりあなたが一番!』って言えば戻れるんじゃないかな?』ってやさしく、軽く言われ・・・・・・そんな簡単に元に戻れるなら、と思ってうんと頷いた・・・・・・ 彼氏と水族館デートは?って聞かれて、今度行こうって言ってたんだけどこの仕事が忙しくて、って言ったら、じゃあ、事前に1度行ってみない?その方が彼氏と言った時一層楽しめるよ、だから一緒に水族館に行った。 そういえば受験生だからって美術館に行ったっけ、楽しかったな。 ここの水族館はペンギンショーがあって、それを観て思わず微笑んだら、彼が写真を撮ってもらうと言って、2人の写真を撮ってもらい次の仕事の時に2枚プリントしてきて「彼と行った時の予行練習だから、記念に1枚は僕、1枚は純ちゃんが、どうせなら予行練習で写真立てに入れておけばいいんじゃない」と言われ、前の彼の写真を入れていた写真立てを捨てるのを忘れていたので、それに入れて言われる通り飾ったら・・・・・・かっちゃんに見られた。 あっ、前の彼氏の事を思い出した。 これってまるでカップルの写真じゃない。 あわてて机の引き出しにしまったけど、かっちゃんの顔がどんどん歪んでいるのがわかる。 言い訳なんかしてももう遅い。 彼に言われてやってる事が全部かっちゃんとの関係を壊して行く・・・・・・。  お試し付き合をしてみたのも、話が面白いのもいろんなお店に連れて行ってくれるのも、もともとはかっちゃんといっしょに行くためだったし、恋愛経験の少ない私がかっちゃんと一層仲良くなるための相談だっただけ、彼が大人でいろんな経験をしているから、それだけ。 本当に楽しいのはかっちゃんといるとき、安心できるのはかっちゃんといる時だけ、かっちゃんと一緒にいる時はドキドキするしでも本当にやすらぐ、ずーっと一緒にいたいって、だから高田大学に行ってかっちゃんを待ち伏せた。 そしてその事をちゃんと伝えようと、でも遅かった。 二股、浮気?違うよ、そんなんじゃないよ、私はかっちゃんだけだよ。 かっちゃんの言う事に何も言い返せなかった。 そう、かっちゃんの言う通り。 私が愚かだった・・・・・・ かっちゃんは、そのまま帰ってしまって、どうしよう。 もう何も考えられなくなって、ずーっと部屋に閉じこもっていたら、かっちゃんが来てくれた、うれしかった、わかってくれたんだ、許してくれたんだ、そう思って抱き着いたのに・・・・・・引き離されて・・・・・・最後のさようなら・・・・・・もうダメ遅すぎた。 こんなに好きなのに、婚約したのに、ずーっと一緒で水族館も北海道旅行も沖縄旅行もこれからだって言うのに・・・・・・ かっちゃんもつらそうだった、すぐにわかるよ、だってかっちゃんの事一番わかっているのは私だもの・・・・・・それなのになんてことしちゃったんだろ、婚約したから、かっちゃんと私は何があっても大丈夫って思って・・・・・・・バカな事をして、別れるなんてイヤだよ~。
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