大学生活

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就職活動1/2  3年も終わり春休み、いよいよ本格的な就職活動。 そんな時、武村が話があると言ってきた。 今まで数回しか行ったことにない武村の家、ピンポンを押すと「高谷か?」 「うん」 「入れよ ガチャ」玄関を開けて入る。それから1分くらいたって武村が玄関に、 こいつの家の玄関の鍵、リモートっていうらしくリビングで開錠できる。 こいつの性格上、玄関で待ってる事はなく、俺が待ってると、 「まあ、上がれや」 「うん」リビングに、あいかわらず広い家だけど殺風景だな、 母親と弟が出て行ってから、父親と武村の2人だけ、家政婦さんが来て掃除とか洗濯とかしてるらしいけど。 「どうしたの?家に来いって」 「ああ、お前就職活動するのか?」 「うん、純と相談して」 「お前達の就職先、決まってるんだから、する必要ないぞ」 「えっ?」 「えっ? ってなんだ?」 「いや、俺の就職先だよ、なんで?」 「はあ? お前 うちにくるんだろ?」 「えっ?」 「え じゃないだろ、お前が言ったろ」 「言ってないよ」 「お前、俺にこの会社継いで父親追い出して、母親と弟呼び戻す って言ったろ」 「ああ 言ったけど でもそれと俺の就職とどう関係するんだ?」 「お前な~ 会社継いで、父親追い出すって俺1人でできるわけないだろ、俺はお前に言われてそうしようとしてるんだぞ、言い出したお前が一緒に会社に入って、一緒にそれやんなきゃダメだろ」 「いや 確かに言ったけど、俺が一緒になんて言ってないし、純とも相談しなきゃいけないし」 「純ならとっくに知ってるし、了解済だぞ」 「えっ 俺純から何も聞いてない」 「それはお前と純の問題だろ」 「まあ そうだけど・・・」 「純と相談してみるよ」 「そうしてくれ」 「ああ」 「おお」そう言って、武村の家を出て、純に連絡する。 もともと この後純の家に行く(帰る)予定だったから 純は家で待って、 「ねえ 何があったの?」 「うん 純の部屋で話すよ」 「うん」 部屋に入って 「ねえ 武村から俺が武村の会社に入るって聞いてた?」 「うん、おととい かっちゃんが快諾した って」 「えっ?」 「なんかおかしいと思って、今日いっちゃんのところから戻ったら聞こうと思ってたの」 「俺、さっき言われた、それに純はとっくに承諾しているって」   「やっぱり」2人ユニゾる 「そうよね、2人とも そんな大事な話だったら、相談もしないで返事する訳ないもの」 「そうだよね、純が承諾したって 聞いて あれ?と思ったんだよ」 「あいつらしいな」 「ほんと いっちゃん ったら」 「ねえ じゃあ 私も一緒って 聞いた?」 「いや・・・あ~ お前達 って言ってたから そういう事か~」 「そっか~」 「恵ちゃんだね」 「そうね」 「恵、呼んでくる」そう言って1階の恵ちゃんの部屋へ 俺も一緒に降りてリビングで待っていると 「お義兄さん、こんにちは」 「恵ちゃん、ちょっといい?」 「どうしたんですか?」 「恵、いっちゃんから私達の就職の話 聞いてる?」 「うん、いっちゃんが2人にお願いする、って」 「やっぱり」 「どうかしたんですか?」 「あのね、いっちゃん、私達をだましたの」 「えっ?」 「俺はついさっき。 武村の家に行ってきたんだけど、俺の就職は純が承諾済 って」 「そう、私には かっちゃんが快諾したって、だから私も同じ職場って」 「そうなんですか、私には2人にちゃんとお願いするって・・・もう。 ちょっと待ってくださいね」そう言って武村に電話し始めた 「いっちゃん、ちゃんとお願いしたの? $%&“#$だめじゃない#$%&‘’&(‘ お姉ちゃんと高谷さん、目の前にいるわよ&’(#$%&もう」そう言って電話を切って 「すみません、お義兄さんの前にでると、素直に言えないみたいで」 「そうなんだ」 「はい、でもお義兄さんの事はすっごく信用してるんです。それに尊敬もしてるんですよ」 「えっ?尊敬?」 「はい、自暴自棄になってた時救ってくれたのはお義兄さんだって、それに大学に入れたのも、それも思ってもみなかったところに って。 お義父さんが仕事先で息子の自慢をしているんですって、将来の後継ぎだって、そして、それもお義兄さんのおかげだって。 それにポンコツお姉ちゃんの面倒もちゃんと見てるし、しっかり守ってやってるって」 「何それ、私がポンコツ?」 「お姉ちゃん!前科があるんだよ、自覚してないの?! お義兄さんがいなかったら、今頃いろんな男に騙されて、とんでもない事になってたよ!」 「うーっ・・・ごめんなさい・・・」 落ち込んだ純を抱き寄せ、頭を撫でる 「そっかーー恵ちゃんからそう言われるとな~」 ピンポン、竹村がやってきた。 恵ちゃんが玄関に、俺達2人は恵ちゃんの後ろについて、そのまま1階リビングに。 就職活動2/2 ― 恵ちゃんの後ろに武村が、気まずそうな顔でついてくる。 リビングで俺と純が並んで、その向かいに恵ちゃんと武村が、恵ちゃんが武村に向って 「いっちゃん、高谷さんにちゃんとお願いしてないの?」 「・・・・」 「もう、ほら、ちゃんとお願いして!」 「ああ」 「高谷、まあ その~ あれだよ、つまり、だから・・・」 「武村、お前何言ってんの?」 「まあ、その~、会社を乗っ取るって言っても俺1人じゃあ・・・・営業は俺がなんとかできるけど、経理とか総務人事とか内部の管理部門の方が・・・」 「技術系は?」 「次郎は今、東京公立大の建築だから3年後に来るから・・・」 「俺と純が?」 「ああ、高谷が財務経理で純が総務人事みたいな感じで管理部門を・・・・」 「あ~あ、わかったよ、一応親にも相談するけどさ」 「かっちゃんが 良いって言うなら、私はかっちゃんについて行くけど・・・ 一緒の方がうれしいし、でもいっちゃんが社長? かっちゃんは?」 「まあ 専務だな」 「えっ? 次郎君は?」 「技術系はNO3だよ」 「そうなの?」 「うちは最新技術がどうのこうの言う会社じゃないから、うちみたいな中小が大手の下請けや、官公庁の仕事をするには営業面と財務面をしっかりさせた方が信用が付いて仕事しやすいんだよ」 「わかったよ、でもこういう話はもっと早く言ってくれよ、俺達2人の将来にかかわるんだから」 「・・・すまない・・頼む・・」自分の足元を見て、小さい声だけど確かに聞こえた。 まるで俺に頭を下げるような、そんな恰好で、あいつらしいな。 武村の頼みか・・・わかったよ。 「会計科目は2つ取ったけど、電卓カチャカチャ叩いて仕訳切ったりするのはやってないし、どちらというともっと概念に近いって言うか、近年の国際会計の動向とか、逆に遡ってシュマーレンバッハとかだから・・・・わかったよ、どうせ就活するからってバイトも辞めたし、就活しないから、その時間を使って今からそっちの勉強するよ」 「・・・悪い・・・助かる」 「いいよ、武村にはたくさん借りがあるからね」 「おお」 「じゃあ、私もかっちゃんと一緒に勉強する」 「純はそれで良いの? お義母さんのところで働くんだっけ?」 「うん いいの、事情を話せば大丈夫だと思う。1番の夢はかっちゃんのお嫁さんになってかっちゃんの子供を産んでずーっとかっちゃんの傍にいる事でしょ、だから。 それと回りの皆が幸せになる事を考えたら、かっちゃんと職場でも一緒にいれて、いっちゃんの為になるなら、そっちの方が大事」 「そっか、じゃあ純と一緒に勉強しよっか、うちの大学って会計士、税理士目指しているやつ結構多いし、大学のすぐそばのところにもそういう学校あるから、それ以外にもそっちの情報もすぐに入手できるからね」 「費用は俺が出すから」 「う~ん、そこまでは・・・」 「せめて、費用くらい出させてくれ」 「いいの?・・・う~ん わかった 考えとく」 「またかっちゃんと一緒に勉強だね♡」 「そうだね」 大学のすぐ近くのチャックという専門学校はCPAと公務員試験総合職専門だったので、会計に関する学校を調べ、純も行きやすいところ という事で神保町の学校に行くことに。 あまり時間がないけど、3級と2級の会計の勉強をさっそく始めた。 数か月後、なんとか3級と2級に合格。 その頃には2人とも、電卓も会計用語も随分慣れてきて、初冬にある1級試験に向け、猛勉強。 うわ~また勉強か~、でも、2人で一緒の勉強は・・・楽しい。 ときどき純の事を覚えている女子が、恐る恐る純に尋ねてくる。 ニッコリ笑って「そうですよ」 純は喜んで握手を求め 「私もあなた達と同じ、会計の勉強してるの、一緒に頑張りましょうね」 と微笑み、そう言うと、すごく喜んで、会うたびに必ず挨拶してくる。 引退しても今だに覚えてくれてる人っているんだ。 純ってすごいんだなー、ちょっと驚き。 それにしても純って、こんな風にしっかり対応しているのに、俺の前だけあんな風・・ よろこんで良いのか?でもやっぱ心配。 武村が純も一緒に会計の勉強するようにお願いしていたので、総務人事なのに、どうして会計?て聞くと 官公庁の仕事は、入札?と実績報告用の書類に積算データというのが必要で、会計知識があると役立つんだそうだ、 そういう時に、純にそっちの手伝いをしてもらうと、仕事の流れが全て掴めるんだそうで。いずれそっちも絶対押さえないと乗っ取れないとか。 恵ちゃんには、両方の家の家事をやってもらう予定だとか、そのためにも純にはそっちを覚えてほしいとか。 皆で会社乗っ取り計画準備段階。 就職活動は、乗っ取り計画実行に変わっていた。
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