盗まれたものは見えない
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コツコツと革靴を踏み込んで俺との距離を詰めていく男は、表情を全く変えない。 残り一メートル。 目の前に男が来て足を止める。 「僕、有名なんだけど知らない?」 「だから知らない……」 「残念だな。それなら教えてあげるね。僕、泥棒やってるんだ」 泥棒。 この男が? 泥棒が何で俺の前に? 訳がわからない。
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