22人が本棚に入れています
本棚に追加
ログと設計書を見比べているうちに、夕方になっていた。
私の昼休憩の時間はどこに行ってしまったのだろう。この空腹感からくる吐き気は誰が助けてくれるのだろう。
「今日は長引きそうですね」
片瀬くんの声で私はゆっくり振り返り「そうだねー」と答える。
「片瀬くんはちゃんと帰りなよ、新婚なんだし」
「え、気を遣ってもらわなくても」
「帰ったほうがいいよ。家庭は大事にしなきゃ。わ……」
「……わ?」
「なんでもない」
私は前へと向き直り、ダウンロードされたログファイルを開いた。
危うく「私は帰っても待ってる相手なんていないし」と言うところだった。
つい数日前までは家に帰れば、待っている相手がいたのに、だ。
最初のコメントを投稿しよう!