"自分"捜し

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"自分"捜し

―翌日。 目的も何もなく旅とやらをするのは、少しつまらないだろう。それに、俺は死んだ瞬間の記憶がない。 ―…俺は今、特に旅の目的とかもない。なら、何も考えずに旅をするよりも、旅の目的くらいはあったほうがいいんじゃないか、? そう思った俺は、ある種の「"自分"探し」をひとまずの旅の目的にすることにした。 "死んだ瞬間の記憶を取り戻す" それが今の俺の旅の目的となった。 ―でもまぁ今の目的じゃ、近所とかその辺だけで解決とかはするんだろうな。その後のことは…今はいいか。 そんな呑気なことを考えながら、俺は家を出る。 そしてまた同じような呑気なことを考えながら、行く宛もないはずなのに、自然とあの"事故"があった場所へ俺は向かっていた。 その場所に着いたときは驚いた。完全に無意識だったからだ。 ―無意識で来れるってことは、ここに何かしらの記憶の断片でも落ちているんだろうか?…いや、まさかな。さすがに落ちているとかは無いだろう、目に見えて記憶の断片とかが落ちてても逆に怖いわ… と、心の中で苦笑した。 そして何も手がかりがない俺は、何をしたらいいのかが全く分からなかった。先にここから一番近い警察署に行くべきだっただろうか、とも思ったが、やめておいた。警察署に行っても、すでに処理済みであろう事故の書類なんて簡単には見つからないだろうと踏んだからだ。 ―…記憶の断片でもなんでも、まだ落ちてたらいいなー。 と、冗談を考えつつも、その冗談に賭けて、探してみることにした―。
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