家族。

1/2
前へ
/5ページ
次へ

家族。

家に帰っても俺の居場所はもうない。 あの"人身事故"があったあの日からずっと。 俺の部屋にあったものも、日に日に少しずつ減っていった。 そしていつの間にか勉強机とベッドだけになった。 でもそれは多分、もう、俺のものじゃない。 きっと、弟のものになっている。 二段ベッドも、あの日から弟が気分で上か下かを使い分けたり、机にも弟がずっと座っている。 父さんも母さんも弟も、あの日からずっと僕をシカトする。 名前も呼ばれなくなった。 ご飯も俺の分は用意されない。 お風呂の用意すらも。 あの日から、ずっと。 ―――――――――――――――――――――――――― あの日から、家族も、学校も、俺のまわり全てが、突然変わった。 まるで、俺が、存在しないかのように―。 俺が、この世から消えたように―。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加