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―…ん、?この世から消えた、みたい、、?もし本当に、そうだとしたら、?
嫌な考えが頭をよぎる。でもそう考えると全ての辻褄が合うのだ。
―…じゃあ、あの"人身事故"のときに亡くなった、俺に"よく似た男子高生"って思ってたあの人は、、俺、??
俺は、あの現場を見ていただけのはずだった。あまりにも一瞬の出来事で、怖くて足が竦んで、棒立ちで見ているだけのはずだった。
…きっとそのときにはもう"今の俺"としてこの世に存在してたのだろう。
―死んだ人が霊としてこの世に残るのは未練があるからだ、とかよく言われるけど…俺に、未練なんてあるのか、?
家族のことだろうか。学校のことだろうか。一緒に事故にあってしまった友達のことだろうか。はたまた別のことだろうか。
いくら考えても心当たりは一切ない。
未練も、後悔も、何も。
いや、心当たりや思い当たるような"意識"がないだけで、本当はあるのかも知れない。そう考えた俺は、
―…"今の俺"を理解してしまった俺には、今までみたいに授業受ける理由も、家にいる理由もない。なら、気の赴くままに色んな場所に行ってみたり、色んなことをやってみたりして、未練やら後悔やらを探してみるか。
と、それまで何一つやる気が起きないうえに重くてだるかった体が、突然軽くなったかのように持ち上がった。
そして俺は気のままに、旅へと一歩を踏み出すのだった―。
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