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あの日から"ひとりぼっち"
いつも俺は、"ひとりぼっち"。
別に誰かに構ってほしいわけじゃない。
むしろ一人でいるほうが気楽だと思うタイプの人間だ。
でも多分、そこらの"一人ぼっち"とは、どこかが、何かが、きっと違う。
俺は、何もできない。
俺は、誰からも呼ばれない。
俺は、"ひとりぼっち"。
必ず名前が呼ばれるはずの学校の出席確認でも、俺は呼ばれない。
前までは呼ばれていたんだ。
呼ばれなくなったのは2ヶ月くらい前のこと。
大型トラックと学生数名との衝突事故、"人身事故"があった翌日からだった。
その人身事故では、一人の男子学生が亡くなり、その他数名の学生が命に別条はなかったが、相当な重症を負うこととなった衝突事故。
俺はその現場で見ていた。
自分に"よく似た男子学生"が、信号無視をしたうえに猛スピードで迫ってくる大型トラックに轢かれてしまう現場を。
俺は、見ていただけなんだ。
なのに、どうして俺は、名前すら呼ばれないんだ。
配布物も俺がいないかのように抜かされ、いつも手元に来ない。
外を歩いていてもそう。
街行く人々は俺とぶつかっても謝罪一つしない。
そもそもぶつかったと思っていないのだろうか、気付いていないようだった。
どこかで何かを買うこともできない。
飲み物一つすら。
でも不思議だ。
お腹も空かないし、喉も乾かない。
あの"人身事故"があった日から。
どうしてだろう。
―…俺は、どうなってしまったんだ。
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