ツミコイ

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受験生となり、本格的に勉強に励む生徒が増えた。塾に通う子もいるようだ。まあ、わたしには関係ない。高校は近くの平均的な場所に通えればいい。両親も厳しくないし、わたしの学力では高望みはできない。いや、きっとしてはいけないのだ。 「的場さん。それじゃあ、これ。よろしくね」 「はい」 「あと大会、頑張るのよ」 「はい」 職員室で国語の女性教師に頼まれたプリントを持ち、廊下を歩く。掃除の時間だからか生徒の姿を見かける。残りわずかの中学生活。とうとう、あいつらが付き合ったとか、男子生徒の一人が受験で神経質になったよなとか、そんな話が聞こえた。関係ない。勉強も、恋愛も。わたしには縁の無い話だ。ろくに友人もいないような人間だ。いじめに遭わないだけ、幸せなのだろう。
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