12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の妹
今思えばずっと昔から妹の蒼芭の事が好きだった。でもそれは許されない想いだという事も理解していた。この想いは、家族愛であると自分でそう思うよう何度も自分に言い聞かせていた。
小さい頃はまだ抑制がきいたが、蒼芭が成長するにつれ、どうしても女として見てしまう自分がいた。
俺は、理科の高校教師をしていた。
通勤が遠くなった事もあり、蒼芭に対して理性がぎりぎりの所で1人暮らしを始めた。蒼芭がいない生活は寂しく時々実家に帰っていた。
蒼芭は会うたびに綺麗になり、一緒に生活していない方が逆に、妄想とリアルのギャップで意識させられる。
そんな時、両親から旅行へ行くので、数日実家に戻ってくるように言われた。
俺は嬉しい気持ちと境界線を超えてしまいそうな自分に不安を抱いたが、やはり蒼芭と2人きりで過ごせるという嬉しい気持ちが勝っていた。
俺はいつも通りの兄を演じるられるか…?
両親は旅行に行き、久しぶりに蒼芭と2人きりで食事をとり、話しをして楽しい時間を過ごした。
最近女として意識し始めてから、俺はなるべく蒼芭を避けるようにしていた。そのせいもあり、やたらと蒼芭は俺の横に座り話しかけてきた。
夜になり風呂から蒼芭はでてきた。
風呂上がりの蒼芭は、濡れた髪のまま、短パンにキャミ姿で、また俺のすぐ側で話しだす。俺と同じ入浴剤とシャンプーの甘い匂いがした。
蒼芭の白い肌がお風呂上がりでほのかに赤くなり、長い足、大きな胸、細いウエストに目を奪われた。
俺は、ばれないように平然を装う。
「蒼芭…髪濡れたままだろ?髪乾かせよ。風邪ひくだろ?」
「じゃあお兄が乾かして〜。」
「自分でやれよ。」
「お願〜い」
俺は嫌そうな顔をしながらも鼓動がまた早くなる。
ーーー蒼芭に触れてみたい…。
蒼芭は、俺にドライヤーを渡して俺の前に座る。俺は蒼芭の長い髪を乾かしはじめた。
蒼芭の髪は猫毛で焦茶色だった。柔らかい髪を浮かすと、うなじも見える。
俺の鼓動の高鳴りは蒼芭に聞こえてしまうんじゃないかと心配したが、ドライヤーの音にかき消されていると自分にいい聞かせた。
そろそろ寝る事になった。
やっと1人になりベッドの上で俺はため息をつく。
蒼芭に試されているようで精神的に疲れた。
ーーー俺は数日間こんなんでやっていけるのか?
そう感じながら、うとうとした時だった。
外は雷と雨が強くなっていた。
スマホから緊急避難メールが鳴り響く。
最初のコメントを投稿しよう!