鈴蘭とタンポポ

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腹が減ったと思ったら、そろそろ夕食の時間だ。 アハハハ ヤーネー あれ?もしかして。 「あら誠、お帰り」 「姉さん来てたんだ」 「うん、出張で明日帰って来るのよ。だから来ちゃった」 「ちょうどいいや、ちょっと待ってて」 僕は部屋から例の物を持って、姉さんに渡した。 「なぁに、これ」 「袋から出してみてよ」 ゴソゴソ…… 「あら〜これ知ってるわ。飲んだことは無いけど」 「飲み物なの?」 母が覗き込む。 「そう、これタンポポの根っ子から作ったコーヒーなの。カフェインが入って無いから私でも飲めるのよ。誠、ありがとう」 「気に入るかは分からないよ。名前と違ってコーヒーの味はしないみたいだから」 「訊いたことあるわ。『ほうじ茶』みたいだって友達が云ってたから」 「タンポポは凄いわね。種類によっては、茎や葉も食べられるし、根っ子は飲み物にねぇ」 母が感心している。 ヘェ〜そうなんだ。僕も初めて知った。 夕飯を済ませて僕は部屋に戻った。 鈴蘭のことを考えていた。 あの時、鈴蘭は確かに不機嫌だった。 なにが彼女の機嫌を悪くしたのか。 皆目わからない。 「たまたまだろう。さ、勉強勉強」
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