鈴蘭とタンポポ

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           その頃、鈴蘭はパソコンで植物のことを、調べていた。 そして窓を開け、しばらくジッと外灯がぼんやり灯る外を見ていた。 昼間は蝉たちが、競うように必死になって鳴いているが、夜になると秋の虫の声がするような季節になっていた。 「タンポポコーヒーか」 鈴蘭はポツリと呟く。           鈴蘭 小学2年生     朝のホームルーム 「今朝は先生から皆さんに大事な話しがあります」 ザワ ザワ ザワ 「はい、静かにして」 シーン…… 担任の先生は一枚の拡大した写真を生徒たちに見えるように掲げた。 「皆さんはこの花をなんていいますか」 「スズラン!」 クラス中が一声に答えた。 「はい、そうですね、この花はスズランと云います。とっても可愛い花ですが、実は怖い花でもあります」 「怖い?」 皆んなは首を傾げている。 「先生、どうして怖いんですか」 「それはね、スズランは毒を持っているからなの」 「え〜〜!」 「驚いたでしょう?スズランは花にも、葉っぱや茎にも、そして根っこにも毒を持っているのです」           数名の生徒が鈴蘭のことを、チラチラと見ている。 「だから、皆さん注意してください。 可愛いけど、なるべく触らないように。 もし触ったら、よ〜く手を洗ってください。分かりましたか」 「は〜い」 ホームルームが終わり、皆んなは帰り始めた。 「貴子ちゃんちはパン屋さんでしょう? お花の名前のお店だったよね?」 「うん、“タンポポ”だよ」 「よかったね、スズランじゃなくて、アッ」
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