3504人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん? どうしたの?」
優しく聞き返してくれる堤下くん、
控えめに言って神すぎる。
でも堤下くんの隣にいる人の目がすごく冷ややかで俺は今すぐにでも凍ってしまいそうです。事故とはいえキスしたから俺のことが許せないんだろうな………すみません、わざとじゃないんです……。
でも、意外とダメージは受けていない。
何故なら、風紀委員長のそれは受けのことが好きすぎるが故の一面であり、俺にとってはご褒美でしかないからだ。拝ませていただきありがとうございますッ。
あ、興奮している場合じゃない。
せっかく堤下くんが聞いてくれているのに俺としたことが。
「さっき、堤下くんは許してくれたけど…でも………キス、してしまったし……」
「うん、それで?」
「堤下くんのファーストキス、奪っちゃったし………結婚しよう!責任を取らせてください!」
自分でも何言ってんだって感じの酷い台詞だ。
そもそも絶対ファーストキスじゃない。
これだけ美の結晶みたいな人だ、キスの経験が一度や二度で済んでいるはずがない。もしかすると隣の旦那に既にチュッチュされているかも………あーッ、想像ならいくらでも補填できるしそれで十分満足していたはずなのに、少しでいいから事実が知りたいとか思ってしまったッ。
だからこそ、こんな無謀な挑戦に出てしまったんだけれどもッ。
「………っ、はあ〜!?!?!? 何言ってんのお前!?!?責任!?結婚!?はあ!?!?」
池田のその発言を皮切りに、当事者である堤下くん以外がザワッと騒ぎ出す。
果たして、俺の挑戦──『ファーストキス』や『結婚』といった衝撃的な言葉を使えば、相手は動揺して、普段なら絶対に言わないようなことを言ってくれるのではないかという挑戦は、大成功することになる。
「し、心配はご無用です……! その方はファーストキスではありませんから……!」
「そ、う……かいちょ、と……して、る……!」
「あ、……っ、ええ!ええそうです!会長としています!」
「……まあ、会長とはしているな」
「……………泉先輩とキスしたのか?」
「ウ、……いやあれは!事故で!!」
何その話詳しく。
最初のコメントを投稿しよう!