きみがいる朝へ

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・ 「じゃあ鈴屋朝日には才能があったんだな」 「都築監督は、えんなとして生きるわたしのこと、嫌だとか気持ち悪いとか思わないんですか」 「なんで?」 「なんでって……やっぱり三日月家の人たちって変人ばっかりなんですかね」 監督の苗字は偽名らしい。 「えんなに会いに来る?」 「…いえ。わたしはまだ未熟なので、えんなが目覚めた時にありがとうって言ってもらえるくらいになるって決めています。なので会いません。だけど…意識が戻ること、願わない日はないです」 彼の気持ちは知らない。 話してくれたことがすべて本心かもわからない。 だけど。何かを演じて、演じて、重ねて、自分から遠ざかっていた彼が、本心を打ち明けてくれたと願いたい。 「鈴屋朝日の人生はそれでいいのか?」 わたしは彼のために何かしたい自分に随っただけ。 「つまらないこと言わないでくださいよ。天才監督」 からかうように言うと、生意気だと頭を小突かれた。
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