乙女地獄

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「衣装、出来たよ!」  授業開始前、美雨が嬉しそうな顔をしながら、私の席にやって来た。 「え?もうできたの!?」  私は驚いてしまった。 「「もうできたの」って、一ヶ月はかかってるよ、だいたいこのくらいだって。早い人は一週間で作れるかもしれないけど」 「そもそも、作れること自体がすごいんだって!」  私は、興奮しているのか、声が大きくなってしまう。 「じゃあさ、日曜日、うちに来てくれない?」  美雨は上目遣いで私を見つめてくる。私はその目線に、ついドキドキしてしまう。 「うん、わかった」  私はどうにかして平静を装って返事をしたのだが、美雨はまだ私の方を見ている。 「ん?どうかした?」  私が訊くと、美雨はハッとしたように視線を逸らし、「う、ううん、なんでもない」と答える。 「そっか。それじゃあ、日曜日にね」  私が言うと、美雨は無言でこくりと首を縦に動かした。
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