乙女地獄

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「これでいいの……?」 「はい、ディートヘルム様」  美雨は満足げな顔をした。 「では…」  美雨は私の股間に顔を近づけ、ディルドを口に咥えた。  何べんも言うようだが、アーデルハイドの出てくる没落令嬢は全年齢対象だ。男のモノを咥え込む描写はない。そもそも、躊躇なく咥え込むか?私の頭にそんな考えがよぎった。  美雨はそのまま、口の中で舐め回す。 「んふぅ……ううん……」  時折、吐息を漏らす。  そんな姿を見ていたら、私の股間も熱くなってきて、そして濡れてきた。  なんでディルドを舐め回しているんだ。ディルドじゃなくて、クリトリスを舐めてくれと言いたくなる。  私は次第に腹が立ってきた。  私は腹立ち紛れに、美雨をベッドに押し倒した。  服の上から、美雨の体をまさぐる。美雨は何も言わず、されるがままになっている。  そのまま、首筋から胸元へと舌を這わせると、美雨は「んんっ」と声を漏らした。  私は上着の下に手を滑らせて、胸を触る。 「あっ……」  思わず、私は手を引っ込めた。柔らかい感触に驚いたのだ。こんなに柔らかかっただろうか。  私はもう一度触れてみる。やはり柔らかい。ブラジャー越しなのに、手に吸い付くような感覚がある。  私は上着をたくし上げ、ブラのホックを外し、乳首を摘んだ。 「あんっ……」  美雨は甘い声で鳴いた。  私は美雨の顔を見る。目が合うと、恥ずかしそうに目を逸らす。その仕草が可愛くて、私は何度も胸に手を伸ばす。 「あぁっ……」  今度は、さっきよりも大きな声で喘いだ。  私は美雨のスカートの中に手を滑り込ませる。  ショーツの上から、割れ目に触れると、そこはもう湿っていた。 「あぁ、ディートヘルム様っ」  美雨の声はどんどん大きくなっていく。どうやら、私はあくまでも、ディートヘルムらしい。 「ディートヘルム様、早く、私を犯してください」  美雨は切なげに言った。しつこいようだが、アーデルハイドの出てくる没落令嬢は全年齢対象だ、そんな台詞はない。  でも、年齢制限如何に関わらず、アーデルハイドはそんな事言わない。作者だから、断言する。  私の中で何かが切れた。だったら、お望み通り、たっぷりと犯してやる。  私はショーツを脱がし、腰につけているディルドを、美雨の中に突き立てた。 「ああぁぁ!」  美雨は悲痛な叫びを上げた。私は懸命に腰を降る。 「いや!ダメぇ!!」  美雨は悶えたので、私は動きを止めた。 「お願いです……もっと激しく……」  そうしたら、美雨は切なそうな声で訴えた。 「ダメなのか、激しくして欲しいのか、どっちなんだ、アーデルハイド」  私は、美雨の茶番に付き合うことにした。 「えぇ、そんな…」  美雨は頬を赤くする。私は、嗜虐心が湧いてくるのを感じた。 「どうして欲しいんだ、アーデルハイド。はっきり言わないと、わからないじゃないか」  私は意地悪そうに言う。 「止めないでください、もっと、激しくしてくださいませ…」  美雨は観念したように答えた。 「いい子だ。おねだりできたご褒美をあげよう」  私は抽挿を再開した。 「あっ……んんっ……」  美雨の体は震えている。私は、さらに奥まで突き上げる。 「ああっ……だめ、そこぉ……」  美雨は艶めかしく腰を降り始めた。 「ここが良いのかい?」  私は美雨の一番感じる部分を集中的に攻める。 「あっ、ディートヘルム様ぁ!」  美雨は一際高い声を上げながら、体をビクつかせた。どうやら、絶頂に達したようだ。私は、構わず攻め続けた。 「おやめ下さい、ディートヘルムさまぁ、アーデルハイドは、壊れてしまいます」  美雨は泣きそうな顔で懇願してきた。この後、あんあんと言葉にならない嬌声を上げていたが、合間合間にディートヘルム様と呼びかけていた。  美雨はすっかりアーデルハイドになっていた。私が抱いているのは美雨だ。でも、美雨の目には私が写っていなかった。  私は、美雨の首に手を伸ばす。そして、首にかけた手に力を入れた。美雨は苦しそうにしていたが、抵抗はしなかった。 「ディートヘルム様…」  美雨は絞り出すように声を出した。  ディートヘルムは愛しい人の首を絞めないだろう。そんなこと、作者である私がいちばんわかっているではないか。  でも、アーデルハイドはどうなのだろうか。ディートヘルムに首を絞められても、抵抗しないのだろうか。  どっちにせよ、私には関係のないことだ。何故ならば、私はディートヘルムではないし、美雨はアーデルハイドではないからだ。  美雨を美雨に戻すためには、アーデルハイドの話を終わらせるしかない。すなわち、アーデルハイドを殺すしかないのだ。  私は、首にかけている手に力を入れ続けた。美雨は動かなくなった。  美雨の目はトロンとしていた。顔には、苦痛と恍惚がない混ぜになっているかのような表情が浮かんでいる。  首には、私の手の跡がついていた。
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