12時の鐘がなったら

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 ☓月1日。  12:00p.m.  12回、時計の鐘の音が鳴り響く。  昼休憩がはじまるとエラは席を立ち、オフィスから出ていく。オフィスの一階にあるコンビニでサンドウィッチを買い、近くの公園に行くのがエラのお昼の過ごし方である。  エラは公園に到着し、ベンチに座り大きく手をあげ、背伸びと深呼吸をする。 「うーん! お外の空気は美味しいなあ~」 「ふふ。お外の空気は美味しいよね」とエラが声がする方を向くと。  瓶底のような眼鏡、目が見えなくくらいの長い前髪をしたマッシュボブに  ダブダブのパーカーを着た、猫背で長身の男性が立っていた。 「あれ? 昨日の?」 「あ! 覚えていてくれた? そう、昨日の駅での人です!」 (あん、もう! 何が駅での人ですよ! 意味が分からないでしょ?) (おばあさま、今は話しかけないでくれよ。緊張してるんだから!)  男性は守護霊と話しているがエラにはその光景が見えていない。  男性は守護霊をしっしっと手をふり追い払おうとするが守護霊は男性の背中にのりかかる。 「こんなところでどうしたんですか?」 「僕も近くのオフィスで働いているんだ」 「そうだったんですね! 昨日は本当に失礼いたしました」 「ふふ。気にしないで! 僕の方こそ不注意だったわけだし。それより、折角のご縁じゃない? お昼ご一緒してもいいかな?」 「もちろんです! 私はエラ。灰菁エラです! 映像制作のアシスタントディレクターをしています」 「僕は王士未来(おうじさき)。僕もクリエイティブな仕事をしてるよ! なんだか奇遇だね」 「そうなんですか! なんかステキミラクルですね!」 「そうだね!」  これがきっかけでエラと未来はお昼の時間を一緒に過ごすようになった。  (ち・な・み・に!  この二人をくっつけたのはアタシ!  未来の曾祖母である守護霊様の王士魔美(おうじまみ)よ!  アタシにはミライを読む力があるの!  だからエラが運命の人って知っているの!  そうそう! 恋のキューピット!  魔法使いの魔美ちゃんって呼んでね!)
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