理由がある

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理由がある

3年生になって、クラス替えがあったが、涼は、また1,2年生のときと同じ岸辺先生になってしまった。 また1、2年生の時のように、じっとおとなしくしていればいいんだ。そう思うしかなかった。 ある日、クラスで1番の乱暴者だと思われている宮本君がお休みをした。 先生が 「誰か、宮本君のお家にプリントを届けてくれないかな?」 誰も返事をしなかった。 怒りんぼで嫌われ者の宮本君の家へは誰も行きたがらない。 ひとりの子が 「松井さんの家が1番近いです。松井さんに行ってもらったらいいと思います」 「えっ? 私が?」 思わず呟いてしまった。嫌ではなかったが、クラスの子の家などボクチンや文クンの家以外は、行ったことがなかった。 「それじゃあ松井さん、お願いします」 仕方なくプリントを受け取って、先生から宮本君の家の場所を教えてもらい、行くことになった。 プリントだけ置いてくればいいんだと渋々受け入れた。 宮本君のお家は、涼の家から5分ほどのアパートだった。 トントン! トントン! 玄関のドアを叩いたが、応答がない。 仕方なく帰ろうとしたとき、 「あれ? 松井?」 宮本君が後ろに立っていた。 「あのね、これ今日のプリント」 それだけ言ってプリントを渡して帰ろうとしたとき、宮本君の頬に傷があるのを見てしまった。
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