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じっと宮本君の頬を見ていると、宮本君は罰悪そうに頬に手を当て
「ちょっと転んだ。誰にも言うなよ」
これ以上聞いてはいけないと思い
「うん! じぁあ、さようなら・・・明日は来るよね?」
「たぶん・・・」
本当は、涼は宮本君の頬の傷の理由を知っていた。
昨日の帰り、学校の玄関で大きな声で争っている男子を見かけた。
それは、3人のクラスの男子と、もう1人は宮本君だった。
言い争っていた直後、宮本君が拳を振り上げ、3人の男子を殴りだした。3人も応戦して、宮本君を叩いていた。
見ていた涼は、怖くて動けなかった。
1人が先生を呼びに行って、宮本君だけが職員室へ連れて行かれた。
他の3人は岸辺先生に
「帰りなさい」
と言われ、宮本君1人がお説教された。
たぶん、宮本君は暴力を振るう常習犯だったから。
でも、涼は聞いていた。
帰った3人は、宮本君のことを、
「デブ! ノロマ! 汚い! こっちによるな!」
そんな言葉を、投げかけていたことを。
宮本君は、むやみやたらに暴力を振るっていたわけではなく、毎回言葉の暴力に耐えかねて、実力行使してしまっていたんだ。
涼は、自分に少し勇気があれば宮本君を助けられたかもしれない・・・ゴメンネ・・・
悔いだけが残った。
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