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プリントを持って行った翌日。宮本君は学校に来ていた。
涼のもとに来て
「昨日はありがとう」
それだけ言って、席についた。
涼は、黙ってうなづいただけだったがホッとした。
だが、宮本君に喧嘩をうった3人は、今日も何やらコソコソ話をしていた。
また、喧嘩にならなければいいのにと、宮本君をチラ見すると、こっちを向いて笑ってきた。
涼は、ちょっと恥ずかしくて、知らん顔して下を向いてしまった。
放課後、図書館へ本を返したに行こうとしたところ、宮本君が追いかけてきて、
「松井の家って、あの角の中華屋なんだな。俺行ったことあるぞ。美味かった。また、父ちゃんと行くからな」
涼は、小さい声で
「うん! ありがとう」
と言うと、周りが気になり、小走りでその場を離れてしまった。
後ろから
「じゃあ、またな!」
大きな声が聞こえてきた。
宮本君、本当は優しいんだ・・・
涼は、思った。
宮本君は、嫌なことには嫌だとちゃんと主張しているんだ。ただ意志表示の仕方が暴力という、間違った行動に出てしまうのだ。
私は、主張も出来ずに逃げているのかもしれない。怖いものに近づかないように身を隠しているだけなんだと・・・・
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