理由がある

3/3
前へ
/30ページ
次へ
プリントを持って行った翌日。宮本君は学校に来ていた。 涼のもとに来て 「昨日はありがとう」 それだけ言って、席についた。 涼は、黙ってうなづいただけだったがホッとした。 だが、宮本君に喧嘩をうった3人は、今日も何やらコソコソ話をしていた。 また、喧嘩にならなければいいのにと、宮本君をチラ見すると、こっちを向いて笑ってきた。 涼は、ちょっと恥ずかしくて、知らん顔して下を向いてしまった。 放課後、図書館へ本を返したに行こうとしたところ、宮本君が追いかけてきて、 「松井の家って、あの角の中華屋なんだな。俺行ったことあるぞ。美味かった。また、父ちゃんと行くからな」 涼は、小さい声で 「うん! ありがとう」 と言うと、周りが気になり、小走りでその場を離れてしまった。 後ろから 「じゃあ、またな!」 大きな声が聞こえてきた。 宮本君、本当は優しいんだ・・・ 涼は、思った。 宮本君は、嫌なことには嫌だとちゃんと主張しているんだ。ただ意志表示の仕方が暴力という、間違った行動に出てしまうのだ。 私は、主張も出来ずに逃げているのかもしれない。怖いものに近づかないように身を隠しているだけなんだと・・・・
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加