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2年生になって
学年が進むにつれて、担任に勉強の出来ない子と認識されていた涼は、無駄話もせず、黙々と黒板を見つめていたせいか、学力がぐんぐん上がっていった。
元々覚えは早い方だったのか、授業中は集中していただけだったが、テストではどんどん周りの生徒を追い越し、いつしか成績は上位に並ぶようになっていた。
同級生からは、いじめられたりするわけではなく、むしろ口数は少く目立たないが、当てられた問題には、答えをすべて正解する頭の良い子として見ていた子もいた。
ある日のこと、担任が
「このクラスで1番明るい人は誰でしょう?」
「1番好かれる人は誰でしょう?」
「1番勉強のできる人は誰でしょう?」
等々、なんの意味があるのか? いろいろな1番を聞き出し、ランク付けしていた。
そして、最後に
「このクラスで1番おとなしい人は誰でしょう?」
1番明るいと言われた児童が、
「は〜い! 松井さんです」
他の皆も
「そう思います」と言った。
涼は、このクラスで1番おとなしい人と皆から思われていた。
それは、学校ではほとんど喋らなくなっていたからだ。
本来1番明るい性格だったかもしれない涼は、学校では余計なことは喋らないで、ジッと黙って貝になっていたからだ。
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