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学芸会
涼は2年生になって、風邪を引いて3日間学校を休んだ。
体調が回復して学校へ行くと、体育でもないのにクラス全員が体育館へ向かっていた。
今日は何だろう? と付いていくと、担任が涼と同じように目立たない子数名を除いて、舞台へ上がるように指示していた。
涼達は、言われた場所に体育座りして舞台を眺めていた。
舞台では、大部分のクラスの児童が何やら被り物を被りダンスを始めた。
あ〜あ、これは学芸会の練習だ。
去年1年生のときは、手を挙げてやりたい人から決まっていった。手を挙げられなかった涼は、役につけなかった。
学芸会当日、楽しそうなクラスの子を見ていた涼は、来年は頑張って、勇気を出して手を挙げよう、そう思っていた。
涼は、元々決して引っ込み思案な性格ではなく、保育園のクリスマス会では赤いスカ―トを穿いて喜んでダンスを踊った。
楽しいことには率先して参加する子供だった。
今年は知らないうちに決まってしまっていた。
舞台を見上げているだけの自分が、とても情けなく思えた。
『出たかったなぁ~・・・』
この頃、ボクチンが引越をし、文も教育熱心な母親に、強引に塾通いをさせられていて、涼は少し寂しい思いもしていた。
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