奇妙な患者‥サトウ

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 「三十過ぎて盲腸で入院とかって‥‥けっこう気恥ずかしいもんだなぁ‥」  中央病院の二階にある、内科の大部屋の窓から外の景色を見ながら、僕はそんなことをつぶやいていた。  急性だったので、会社でいきなり倒れ、そのまま救急車で運ばれ て入院。お見舞いに来た会社の人たちは、 「こっちは大丈夫だから。ゆっくり静養してね」  と言ってくれていたけど、どうフォローされても結果的に仕事を放り出す形になってしまったことは間違いなく、心苦しさはあった。  時間が空けば空くだけ仕事のことを考えてしまい、気がかりな事が、どんどん増えていった。  ただ、今の僕の気がかりのトップは、申し訳ないが仕事のことではなかった。  僕の気がかり、ぶっちぎりの1位は、隣のベッドの患者のことだった。
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