14人が本棚に入れています
本棚に追加
「……と、いうことで今回コラボして下さる霊能者の方がトンネルの前にいるとのことで向かってます……ちなみに霊能者は霊を払うことが出来る人の事を言うんだけど」
撮影を開始ながら思いついた話をし、歩いてゆく。
とりあえず、このチャンネルでは俺は霊感が少しあるということになっている。じゃないと何もなかったです動画じゃ面白くないからだ。
それで、心霊スポットで機材設置をする際、浅香が感じた気味悪さを台本にし、本番でさも自分が体感したかのように気味悪さを演じる。
全くの嘘ではないが、ちょっといかさまな動画である。
でも、なんだろう。
これまでいろんな心霊スポットを何度もひとり検証してきたが、今日は何故か気味が悪く感じる。カーブに差し掛かると道の奥のトンネルに設置されているオレンジの光が見えてきて。
「あ…道の奥にオレンジの光が見えてきました。あそこが、荘内トンネル?……えっ!」
曲がり角の森の奥からガサッ、ザッ、ザッと、はっきりと足音がした。
もしかしたら、霊能者が除霊しに森に入っているのかもしれない。
足音の原因がはっきりするとちょっとホッとした。浅香は、霊に会いたいらしいが、俺としては家族の霊事情を知っているからこそ、めんどくさいことには関わりたくないのだ。
「…今、森から聞こえてきた足音は今日のゲストの方……でしょうか?」
ともかく、ビデオに音が入っているはずだから言っておく……
だが、森の中にいるはずの霊能者はトンネルの前に立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!