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レイモンドがライドシンバルを静かにゆっくりと叩き始めたのだ。その甲高い音は山内の奏でる音に徐々に溶け込んでいく。
微かに重い低音が響き始める。
ハリーのベース音が山内とレイモンドの音に輪郭を与え、融合した音に生命を吹き込む。
山内の創り出した静かな湖面にレイモンドが一石を投じることで波紋を広げ、それをハリーが規則正しく整える。
1つの風景画が完成する。
一瞬の間。
振り上げられた山内の左手がこれまでとは打って変わって重低音に着地し、同時にレイモンドがクラッシュシンバルを叩く。
山内の左手は8分音符と8分休符を織り交ぜ、右手はその僅かに生じた隙間に和音を正確に放つ。両手のコンビネーションで創造されたリフに対してハリーはユニゾンで続く。
レイモンドはハイハットで細かくリズムを刻みながらスネアのリムショットで抜けの良い、乾いた音でアクセントをつける。
––––物語が動き出す。
山内は時折、唸りながらメロディーを奏でる。それを見てハリーとレイモンドは笑みを浮かべながら合わせていく。
インタープレイ
ジャズにおいてはお互いの音を聴いて、お互いに作用し合うことを示す。即興演奏に入るとそれはより一層色濃くなる。
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