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まるでお喋り好きの子供が両親にドライブの行く先を無邪気に尋ねているかのようにレイモンドはクローズ・ハイハットとオープン・ハイハットのコンビネーションを連続させる。ハリーはそれを優しくあやすかのように少ない音数で均衡を保つ。
––––"今日はこっちに行こうか"
均衡を破った山内のブロック・コードに一瞬ハリーが反応し、大きく笑う。それはコード進行にはない、山内がその場で即興的に行ったリハーモナイズ。そこから彼女はドロップ2、ドロップ3、ドロップ2&4を駆使したオープンヴォイシングを使いながら道を切り拓く。
3人の物語はまるで楽器を通して会話をしているかのように続く。
山内の超絶技巧から繰り出される細かいパッセージも一音一音がハッキリと粒立っており、不思議と聴衆の五感に残り続ける。
ハリーは3フィンガーで複雑に絡み始め、ルート音をしっかりと押さえつつも独自の世界観を織りなす。そこへレイモンドが正確なリズムを刻みつつ、2人のラインに絶妙なタイミングでフィルを入れ込む。
––––3人の世界が1つになる
それが会場全体を一瞬にして飲み込み、世界が広がる。
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