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『うしろむき』
半年付き合った彼女と別れた。
と言えば聞こえは良いが、振られたのだ。大学の仲間たちからは、くよくよするな、もう忘れて元気出して行けと慰められた。
昼下がりにキャンパスを歩いていた道の先で、元カノが3号館から出てきた。やばいな、なるべく目を合わしたくない。何ごともなくすれ違ってやりすごそう。
しかし向かい合って歩いているにも関わらず、一向に距離が縮まらない。
背筋が凍った。
彼女は俺と同じスピードで後ろ向きに歩いている。
何故だと思ったその背筋に、友人の女の子がぶつかった。
違うや。後ろ向きなのは俺じゃん。
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