case2大好きだから別れるの

1/13
前へ
/219ページ
次へ

case2大好きだから別れるの

 黒い普通車に乗り込み、運転席でガムをクチャクチャ噛みながら目的地へと向かう。アタシは後部座席で、中古のスマホのライン【瑠衣(るい)】になる。 「煙草吸わないの?」 「マナーはわきまえてんだよ」  依頼人は十代の少女、仲良しの友達と別れたい理由って男関係で揉めたとか、それとも、保護者同士の仲が拗れたとか? 「なんで別れたがるんだろ」  大切だと思っていた。何かのきっかけで、すれ違い勘違いしたままかもしれない。黒木はガムを紙に捨て丸めながら、ゴミ箱に捨てる。ルームミラーでアタシを見つめて。 「俺たちは余計な勘繰りはしない。ただ別れさせられればそれでいい」 「そうなんだけど」  もし、宮村くんがアタシと別れたいと言ったときアタシは縋るのかな。どうしてと訊ねるのかな?そんなことになりたくないけれど、いつすれ違うなんて誰にもわからない。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加