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話し合いの場所はファストフード店内。子供連れの母親やご年配の夫婦がまばらに座っている。一角のテーブル席でアタシたちは飲み物をそれぞれ目の前に置き、依頼人の少女を見る。
「偽名でも構いません。お名前は?」
少女は黒木をそしてアタシを交互に見ながら呟く。金髪の刈り上げベリーショートヘアーに骸骨のイヤリングがキラリと光る。
「れん」
「れんさん、別れさせたい人の関係性をお聞かせ願いますか?」
黒木が声をひそめて訊ねているけど、彼女の態度はそっけない。
頬杖をついた腕にもタトゥーシールがたくさん貼られていて。ロックな格好の彼女は、アタシよりもすごいダメージジーンズを履き、足を組む。
「別れさせてくれればいいだけでしょ!!」
刺々しさが伝わって鋭い視線を黒木に向けたれんさん。これ以上聞いてもなにも答えてくれない。いや、答えたくないそんな雰囲気が出ている。
「アタシは瑠衣。一週間だけの友達だからね」
期間付きの友達なら、なんでも話せる?ラインのIDを交換し終え、立ち上がるれんさんに訊ねられる。
「一週間で別れさせられるの?あんたが?」
誰も信じない視線を見たことがある。重なるのは刺々しさがあったアタシに似ている。
「別れる気持ちがあるならできるわよ」
人の気持ちは揺らぐ、黒木が一週間としたのは依頼人の気持ちを整理をさせるための期間でもある。
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