case2大好きだから別れるの

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 4LDKの広い部屋にアタシだけがいる。黒木についていったのは、まだ探し続ける両親の友人だから。 『俺のそばにいれば会える』  そんな言葉を信じているなんて、子供みたい。よく考えれば、スマホを買ってもらったときに両親の連絡先を聞けばいいのに。 「あぁ、もう!!」  なんで苛つくの?出来る女を気取っていたから?不倫役の時は愛のあるメッセージで事足りたからだ。  クローゼットを開き、ハンガラックにかけてある服を見る。半袖の袖が膨らんでいるワンピースが数着、七分丈のワンピース、厚手の長袖ワンピース。どれも黒色ばかり。 「何にも染まらないと思ってたのに」  アタシ自身の恋なんて一旦忘れて、れんさんのことを考えなくちゃいけない。別れさせるために、アタシがとるべき行動は? 「会いに行くこと」  半袖の袖が膨らんでいるワンピースを着て、黒いドレッサーに向かい軽めにメイクを終えると、流し台に置いた皿を洗い、食器を戻して、洗面所に向かう。 (宮村くんを誘ってちゃっかりデートでもするの?それこそ、公私混同じゃない)  鏡越しにもう一人のアタシが肩に手を添えて笑っている。明るい茶色い髪を櫛にとかして、ヘアアイロンでストレートにしていく。 「こんなに着飾ったっけ?」  真っ赤なリップを重ねて、ティッシュオフして苦笑を浮かべる。バイトに行くのが楽しみなんて思わなかった。生きていくため、お金を溜めるために必死で、周りの人と仲良くなんてしなかったのにね。
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