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日傘を差して、駅へと向かう。肩から下げたトートバッグから“森のくまさん”の着信が鳴り続けている。
「もしもし」
『歌いに行くと連絡が入った。お前のバイト先を教えたからな。接近のチャンスだな』
え?今は河井真理亜なんだけど、別れたい相手を見るチャンスと言い、一方的に切った黒木は来ないの?いつも、アタシ任せじゃない。
「あぁ、もう!!」
ブラウンのパンプスで地面を踏みしめる通行人が数人アタシを見て通りすぎていく。
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れんさんたちが来たのは昼時の繁忙時間帯、受付の宮村くんを見て紅さんがはしゃぐのを見て、れんさんに同調を求める。
「右手奥の十七番になります」
宮村くんの声を厨房で聞く、こういう時に限って厨房担当なんだけど!!
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