case2大好きだから別れるの

9/13
前へ
/219ページ
次へ
 厨房の忙しさが増していく。世良さんも入り二人でオーダをこなしながら、運び終えては、また戻ってくる宮村くんを視界の端に見ながら、オーダーミスがないか確認していく。交代と肩を軽く叩き、エプロン姿に調理用の手袋をはめる宮村くん。 「めっちゃ忙しいから」 「うん」  そんなのわかってるよ!!なんて悪態は黒木にしかつきません。猫かぶりですよ。それがなにが? ****  十七番の奥の部屋に行くきっかけがつかめない。オーダーは入っておらず、左へ右へと小走りにかけていく。 「忙しそうですね。お姉さん」  何よ、昼間っから絡んでくるなと、心の中で吐き捨てながら振り向く。一人カラオケいや観察に来た黒木は、一昔前のチャラ男に変装していた。 「そうです。お兄さんよろしくお願いします右奥ですから」  小声で部屋を伝えながら、通りすぎようとしたとき、黒木に引き留められる。 「えぇ!!お姉さんのお仕事でしょ?」  ねぇ、なにキャラなの?
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加