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赤毛のツインテールにタンクトップにハーフボトムス姿の紅さんは、マイクスタンドを持ち込んで、オーディエンスが増えたと笑顔を見せる。
「You!!痺れちゃいな」
キャラが濃いですねぇ、横隣で、れんさんがジト目でアタシを見る。もしかして、邪魔した?呼ばれたから来ただけなのに。
「それでは聞いてください」
流れてきた曲はヘビィメタル系、早口でなに言ってんだかわからない。タンバリンでリズムをとるれんさんは、頭を振れとジェスチャーで促す。低音ボイスの声で、カラオケの採点画面を見る。音程がとれゴールドの線がキラキラ輝いている。
「あんた、瑠衣?」
格好は変装で誤魔化せても、声でわかる。頷いて返答し、激しく頭を振り乱れた髪を整える。一週間の偽りの友達と別れたい相手、紅さん。この状況でなにも起こらないわけがない。
「ねぇ、どうだった」
肩で息を弾ませながら、アタシに訊ねてくる歌い手の紅さん。
キー〜〜ン
高い音が鳴り響き、アタシの右頬に触れる唇で事態が飲み込めた。
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