case2大好きだから別れるの

13/13
前へ
/219ページ
次へ
 ドアノブが開き、内扉がノックのあと開かれる。姿を見せたのは宮村くん。れんさんは彼を見て、真ん中に立つ(くれない)さんを見る。 「真面目なイケメン男好きだよね。紅は」  今度は悪口を言って嫌われるよう。ただ、れんさんの声が少しだけ震えている。 「お客様となにかあった?」  中腰の姿勢で聞いてくる宮村くんにアタシはなにも答えられない。二人の問題というのもある。【別れさせ屋】の話をまだ彼にしていない。 「アタシたちはこれで」  宮村くんの手を引き逃げるように【十七番】をあとにする。対応としては間違えている。呼び出しをされた時点で一人ではなく、二人で行けばややこしくなることはなかったはず。別れかたが拗れると、別れにくくなるだけなのに・・・ 「河井さん」 「ごめん」  繋いでいた手を離して、アタシたちの横を黒木が通りすぎて奥の部屋へと消えていく。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加