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ドアノブが開き、内扉がノックのあと開かれる。姿を見せたのは宮村くん。れんさんは彼を見て、真ん中に立つ紅さんを見る。
「真面目なイケメン男好きだよね。紅は」
今度は悪口を言って嫌われるよう。ただ、れんさんの声が少しだけ震えている。
「お客様となにかあった?」
中腰の姿勢で聞いてくる宮村くんにアタシはなにも答えられない。二人の問題というのもある。【別れさせ屋】の話をまだ彼にしていない。
「アタシたちはこれで」
宮村くんの手を引き逃げるように【十七番】をあとにする。対応としては間違えている。呼び出しをされた時点で一人ではなく、二人で行けばややこしくなることはなかったはず。別れかたが拗れると、別れにくくなるだけなのに・・・
「河井さん」
「ごめん」
繋いでいた手を離して、アタシたちの横を黒木が通りすぎて奥の部屋へと消えていく。
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