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会いたくない人はいる。学生の頃の見かけだけの女子友達だ。マウントを取りたがり、同情してて“思いやりのある子”でクラスの男子に見せつけていたから。
「真理亜じゃん!!いきなり連絡途絶えたときはどうしようって思ったんだよぉ。SNSもやらないなんてさ」
笑顔で香水プンプン漂わせて現れた杉原さん。
『人の彼氏奪ったでしょ!!』と詰め寄ってきた女子は、腕を絡ませて年上男性と来店してきた。
「いらっしゃいませ。当店は、はじめてでしょうか?アプリをお持ちのかたはそちらのスクリーンにスマホを提示させてください」
男性がスマホを取り出した。意識的に指を見てしまうアタシ、左手の薬指に痕がある。杉原さんはわかっていて付き合っているのだろうか?
「そんな羨ましそうに見て、彼氏いないよねぇだってさぁ、地味だったよね」
言いふらすように嬉しそうに話していた杉原さんの視線が横に向く。口角が上がったときは気になるサイン。
「お客様、他のお客様がお待ちですので」
杉原さんの視線は宮村くんに向けられたままでいる。嫌な予感しかしないよ。
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