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佐々木家の黒幕
莉子が受験したのは、祖母の母校。難関私立女子中学・高等学校。
女子校だった。
成績を維持すれば、そのまま内部進学で高等部へ入学できる。
いくら僕らが頑張っても、受験したくても、出来ない場所を選んでいた。
しかも、隣県…。
必然的に、会えなくなる。
俺は、瑛人と思案中。
『俺も近くに行くか?今から…受験できるとこ、あるかな?!』
「俺が嫌になったのか?」
「違うから…。気にすんなっ!」
「でも、また、一年間離れるって思ってただけなのに、もっと離れるなんて…。その間に、誰かに持っていかれたら…。俺…。」
こんなに落ち込む瑛人を放っておけない。
別の日…。
俺は『理人を演じて』、おばあ様の家へ乗り込んだ。
今度は、へまはしない…。
「いらっしゃいっ!話があるのは、分かっているわ。これからの事ね?」
ゆっくり、頷く僕。
「理人、もう莉子ちゃんの子守りは、やめなさい。自分の事を考えて。」
「瑛人のためですから。」
「だからよ?瑛人も大分、大人になったわ。この前の様子で分かったでしょ?」
「はい。俺より冷静でした…。認めます。」
「次は、理人よ。二人には、留学してもらおうと思っているの。これは、会社のため。貴方は、社長を瑛人がすると思っているでしょうけど、社長だけじゃ、うちの全社員を動かす事が出来ないわ。だから、色んな人材が必要なの。」
素直に返事をした。
「はい。」と。
「海外事業部は、今、貴方の叔母さんが主担当だけど、次は、理人たちの時代になる。」
「理人には、16歳で留学してもらうわよ。瑛人もね。」
そろそろ自分の事も考えろって事か…。
「分かりました。」
ここは、取り引きだ…。冷静に。
「でも、瑛人の留学は、大学生になってからにして下さい。お願いします。莉子不足で、おかしくなったら、大変だから。(笑)」あえて、冗談っぽく言う。
「取引ね?」
「はい!」
しばらく考えてから、
「そうしましょうか…。」
「あと、来年、瑛人が、隣県の中学に行けるように出来ないですか?」
すると、当然のように言う。
「当たり前でしょう?正式ではなくても、2人は許嫁みたいなものなんだから…。来年、お祖父様の母校を受けてもらうわ!成績、大丈夫かしら?フフッ。」
「えっ?男子校…。」
ニヤリと笑う祖母。
「もっともっと、心も体も強くなってくれないとね?莉子ちゃんを守れないわ…。」
一先ず、安心した僕。
そして、無事に取り引きも成立した。
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