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それぞれの思い
2月になった。
小学校の卒業式は、3月中旬。
送辞は、瑛人。
答辞は、なんと莉子。
先生は、僕に答辞をと言ったがしっかり断った。
変わりに、卒業記念合唱のピアノを弾きますと。この合唱も大切なイベント。でも、お陰で、このセットが成立してしまった。
卒業式まで、数日…。
莉子と話がしたくて、母に相談。
すると、母親同士で、連絡をとり、夕食会をすることに。家族のくくりだと、莉子も逃げられない…。
当日。
夕食会は、夕方から。
手巻き寿司やチョコレートフォンデュなどを楽しんだ。
桂樹と陽葵は、Switchを始めた。
瑛人は、自分の部屋へ。
必然的に、莉子と俺がリビングに残る。
今だな……。
「莉子、話したいことがある。」
王子スマイルを封印。
「お願いがあるんだ。毎週末、帰って来て?」
「あっ、無理だからっ!入りたい部活がね、必ず土日のどっちかにあるから。近くの男子校で練習するの。」
「ふーん。今まで、散々、莉子と瑛人の色んなサポートをしてきたのにぃ?僕のお願いは、聞いてくれないんだ?」
「仕方ないじゃない?部活なんだから…。」
「じゃ、瑛人が、他の女の子にとられてもいいんだ…。」
「それは、絶対ないっ!瑛人は、私しか、好きじゃないから。」
『チッ…。』
「じゃ、会わないまま、放っておくのか?」
「1年待てば、瑛人も近くに来るでしょ?おばあ様が、約束してくれたもん。」
「はっ?最初から、その計画だったのかぁ~?」
「そうよぉ。私が瑛人から離れても、必ず、次の年には、送り込むからって…。
それに、受験することで、“どのくらい、瑛人に愛されてるかが、分かるから”って。」
『…………。』
「それと、少し離れて、瑛人のための人脈作りしなさいって…。」
「あのっ、くそばばぁ!!ふざけんなっ!」
「理人、素が出てるよ?あっ、おばあ様がね?まだ、瑛人に言うなって…。色々、覚悟させるからって。」
「なるほどな…。じゃ、毎日、Zoomで連絡しろ?それなら、できるだろ?」
「えーーーっ?毎日ぃ?」
不満を漏らす莉子…。
「そうだ。毎日。でなきゃ、女、紹介するぞっ?瑛人にっ!」
「……。分かった…。でも、5分以内でっ!」
「連絡しないと、瑛人を来年、受験させないからなっ!」
「話が終わったかしら~?」
莉子ママが言う。
「理人くんも、いいのね?」
頷く僕…。
久々に、王子スマイル(大人向け用)を振り撒いた僕。
それを見ていた莉子は、
「は・ら・ぐ・ろぉ~!!」と叫んだ。
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