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シノは佐和子らを振り切って
裏の竹林へと一目散!
我が子を拐われた鬼子母のように
駆けるシノの脚に
佐和子と嘉健がやっと追いつくと
「たけひこぉぉぉおおお!!!」
咆哮に笹が鳴った。
「たけひこ!たけひこたけひこ!
たけひこたけひこおおおおぉぉ」
繰り返される叫びに
畑から父も祖父母も…
近隣の人までやってきた。
尋常ならぬシノの様子に
状況を察知した大人は
俯く以外に術はない。
次にはあの先に“戦死”通知を
受けとっていた五軒の母親が
シノのそばに走り寄り
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