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「三十三回忌、お疲れさまあ!」
佐和子達は乾杯してから
「おかあちゃん、賑やかなん、
好きやったから賑やかに、ね」
仏壇の母に杯をあげた。
「流石に八人も子供がおると
法事の度に賑やかですね」
佐和子の孫娘の婿が
十二畳を二間ぶち抜いても
入り切らない身内に感心。
もう誰が誰の孫やら曾孫やら
分からない状態で
子供達は、廊下や二階を
駆け回っていた。
「ほんまやなあ」
まだまだ元気な八十過ぎの
兄妹達と頷き合う佐和子。
それから…
「健彦兄さんが生きたら九人、
もっと大勢になってたはず…」
兄妹が目でやる欄間横。
つらつら掛けてある遺影の中に
軍服の青年がひとり…
笑っていた。
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