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夜になって、寝床へ入った佐和子に
『死神からの手紙』
の、言葉が恐怖を呼んだ。
見慣れた天井の滲みも四隅の闇も
いつも以上に怖くて
布団を頭まで被った。
隣の部屋では
健彦と両親・祖父母が
まだ起きている様子。
ふと、布団の隙間から
大きな目を真っ直ぐ
上に向けたまま大の字の嘉健に
気づいた佐和子は、
「死神から逃げる方法…
考えてるんかなあ…」
ポソリと言うと
「ない!そんな方法ない!
世界中が死神だらけなんや!」
…涙声の語尾のあと、
嘉健は、横を向いて
身体を丸めた。
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