63人が本棚に入れています
本棚に追加
「傾いてるときは
人も国も滑稽や」
酒がすすんで
戦中話になると
嘉健は必ず
「あんな竹槍で爆弾に
勝てるわけないのになあ」
小学校の校庭で行われていた
“竹槍訓練”の話をする。
「とにかく戦争に参加する、
している意識を持たされたから
“見えへん敵”に毎日毎日
“エイヤー!エイヤー!”と
言わされて…」
児童の前には母親達が、
竹で作った槍を構えていて
「愛国の母の一突きを!!」
…の、号令で、
「エイヤーーー!!」
無表情でビシ!!
「あんなもん…
犬すら倒せんのになあ…
ハハ…滑稽滑稽…」
虚しさを祓うように
嘉健はグラスのビールを
一気に空けた。
最初のコメントを投稿しよう!