おかあちゃん

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   「傾いてるときは   人も国も滑稽や」  酒がすすんで  戦中話になると  嘉健は必ず  「あんな竹槍で爆弾に   勝てるわけないのになあ」  小学校の校庭で行われていた  “竹槍訓練”の話をする。  「とにかく戦争に参加する、   している意識を持たされたから   “見えへん敵”に毎日毎日   “エイヤー!エイヤー!”と   言わされて…」  児童の前には母親達が、  竹で作った槍を構えていて  「愛国の母の一突きを!!」  …の、号令で、  「エイヤーーー!!」        無表情でビシ!!    「あんなもん…   犬すら倒せんのになあ…   ハハ…滑稽滑稽…」  虚しさを祓うように  嘉健はグラスのビールを  一気に空けた。     
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