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尚、意外に知られていない事だが、各々アメリア航空・クラカヂール定期便の通称が根付きつつある高速輸送網をナーゼル商会と運送処羽黒屋で独占している訳ではない。
此は自称ナーゼル商会異世界支店長実質異世界支社長であるアリームと運送処羽黒屋責任者である陸攻との方針に拠るもので、一言で表すなら
勝ちすぎは下策の下策のそのまた下策
という教訓を形にしたものであった。
其を知るやゴタイソー辺境伯領に於けるナーゼル商会のライバルを自称するハッサン商会の長ハッサンは抜け目なく高速輸送網利用に名乗りを上げてすぐ
「恩に着るぜ若旦那、ムジーフバントウ。
だが、ウチに追い抜かれても後悔するなよ?」
…と愉快そうに尚且不敵に笑いながらそう述べたそうである。
此に対しアリームは
「はいハッサン代表。
正々堂々御客様の為に」
と返し、腹心ムジーフを更に心酔させるのであった。
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