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勇魂ジョナサンがそう述べたのがきっかけとなり、陸攻は以前黒井車掌がしてくれた話を思い出すに至る。
其からすぐ勇魂ジョニーがしてくれた話に拠ると、当時の彼は出身世界の戦場で命を落とし、徹夜ステーション驛からあの電車に乗ったばかり。
いつの間にやら握り締めていた紙片…冥界鉄道乗車券を見て、自分がヴァルハラ平驛に向かう途中である事を知ったという。
晴れてエインヘリャルとして認められた現在とは異なり、駅や電車処か人間1人の力で容易く持ち運び可能な爆弾についても全く知らなかったそうであった。
「騎士として情けねぇ話だが、あの時の俺は何も出来なかったんだ。
其が死ぬほど悔しくてよ。
あの人みたいになりたくてがむしゃらに戦って戦って戦って、ふと気が付いたら見習いエインヘリャルになってたって訳なんだ。
つまり、俺がエインヘリャルになれたのは、あの時のニホン人…鉄路の英雄のお陰なんだよ」
些かしんみりとしながらジョナサン。
傍らのマミルが頻りに頷いている事からも、彼女が決して受けた恩を忘れないジョニーの人柄を評価している事が窺える。
「ジョニーさん。
残念ながら鉄路の英雄については私も存じません。
ですが、彼のお陰で冥界鉄道の方々の信頼を頂戴する事が出来ました。
つまり私も、彼に恩がある1人です」
心の底から陸攻。
今度はカナカが頻りに頷いている。
やがて頃合いよしと感じたのか、マミルが口を開くのであった。
「ごめんなさいねリックさん、カナカちゃん。
挑戦状と罰はただの口実で、本当はリックさんに御礼を言いたかったのとカナカちゃんと400年ぶりにゆっくりと御話しがしたかったの。
ああでもしなければ現役エインヘリャルという立場上、あなたたちを宮殿に招くような特別扱いは出来ないのよ
」
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