序 章  新  月 ―― 闇に隠れる月

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 そんなこと、ないよ。だって私、中学では一度しか泣かなかったんだ。  でも、恭子にそう言われても仕方がない。この一月半、自分でも嫌になるくらい涙を流してきたから。ごめんね、最後も泣いちゃった。  恭子は、やっと笑えたね。よかった。  恭子の涙は、涸れてなかったんだよ。  目の前に、かぐやがいる。  みんなの力を借りて、ここまでたどり着いた。  だけど、突然のゲームセット。  私を支えてくれた大切な仲間たちは、冷たいコンクリートの床に崩れて折り重なってしまった。みんな意識がない。  最後が、私の番だ。
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