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「こらーハル、おしゃべりするんじゃなーい。しーさーは北の空担当。流星のカウント、忘れんなよー」
はーい、と返事をしたしーさー先輩の背中が、砂に倒れこむ。
声の主は、三年生の喜屋武皇琴部長。
学園ジャケットを肩に羽織ってブラウスのすそは出しっ放し。いつもラフというか、だらしない身なりの先輩。性格はゴーイングマイウェイ、他人の都合なんて一顧だにしない人だ。
去年の暮れ、上級生から次期部長に指名された喜屋武部長は
「皇琴の琴は、こと座の琴。すなわちオルフェウスの琴よ。何があっても後ろを振り返らない、それがあたしだから覚悟しなさい」
と、高らかに宣言した。
それを聞いた他の天文部員は「後ろとまでは言いませんから、たまには左右を見てください」という台詞をのみこんだけど。
しーさー先輩に代わって、私が上体を起こした。
「ところで部長。なんで急に流れ星を観測する気になったんですか」
「ん? 不満か、ハル?」
「いえ、私も天文部員である以上、流星観測には反対はしません。野外観測会を当日の昼休みになってメールで通告するやり方もどうかと思いますが、まあいいとしましょう」
「ハルらしい気になる言い方だが、見逃してやろう。それで?」
「しかし、しかしです。なぜ天文部員が満月の夜に、海で流星観測なのでしょうか? そこがさっぱりわかりません!」
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