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34 危機
――そこにいるのはわかってる。出て来いよ。そうしないと、お友達ともども死んじゃうよ
嫌な声だ。フランクはやる気だ。
「どうする」
「出ていくしかない」
「だめだ。殺される」
「だが、吸排気装置を止められたらみんな死ぬ」
「ちくしょう」
レイナが歯噛みした。
「ふふふ。そうだな。まあ、何とかなるかな」
大佐が珍しく笑いながら言った。
「どうしたんだ、大佐?」
「まあ、出て行ってやろうじゃないか。お待ちかねみたいだからな」
「ま、大佐がそういうんだったら」
「そうね。しょうがないわね」
三人が笑いあうのを、老人は不思議そうに見つめている。
地上への階段を上り、ドアを開けると、フランクの手下が数十人いた。建物の中からも銃を構えている人間がかなりいた。100人ぐらいか。
「150人いるな」
大佐の計算は正確だ。きっとどこかに隠れていやがるんだ。
「さあ、こっちへこいよ。楽しませてやるからよ」
「ゲスめ」
ガニスが中央へ歩く。手下はみな引き金を引きたくてうずうずしているようだ。
「最後に、いいか?」
ガニスが怒鳴る。
「この期に及んでなんだ?命乞いか。泣かせるねえ。おねえちゃんを助けて。ぼくが替わりに、か。どこかで聞いたぜ」
フランクが厭味ったらしくそう言うのをガニスは憎々し気に見ている。
「きさまっ」
そのときどこからともなく、四つ足のなにかが来た。
「何だこりゃ?」
フランクが素っ頓狂な声を上げた。まあ見たことはないんだろう。
「大佐、レイナ、伏せろっ、スポッツだ!」
ガニスが叫んだ。
空間に波が打たれた。テイザーショックウェーブ。瞬間的にこの場の人間はマヒした。
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