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「え、違うの?パスクを見に行くんじゃ?」
パスクとは、PsCをローマ字読みした俗称だ。つまり超能力犯罪者のことである。
「い、いやちが……あ、でもえぇっと……」
風見は否定も肯定もできずにただモジモジとしている。目線は相変わらずあちこちをさまよっていて、たまに目の前の美少女と目が合ったかと思うと、その瞬間には別のところ______を見ているのだった。
「……どっち?」
「い、いやちが……あの……」
そういうと風見はペコっと頭を下げてその場から走り去っていった。美少女は完全に困惑顔である。
(あぁ緊張した……)
風見は胸の鼓動を手で押さえつけながら走り続けた。
界屋臨海研究都市と界屋市との間にある大きな橋の近くに到着すると、そこは警察やら消防車やらでごった返していた。警察の中には映画の中で見るような重装備の者もたくさんいた。
風見は規制線の近くから様子を眺めた。橋の真ん中辺りに1人の大きな人影が見えた。その男は警官たちの警告にも応じず、ただこちら側、内陸へと近づいてくる。臨海都市の方は各地で火煙が上がっており、建物が崩れているところも珍しくなかった。
「あ!やっぱり!」
後ろから聞き覚えのある、というより先ほど聞いた声がして振り向くと、そこには風見が逃げてきた美少女が立っていた。
「絶対そうだと思った!"ニンジャ"のファンでしょ、君!」
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