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「え……ニン……え……?」
思いもよらない問いに対して風見は女子への不慣れ抜きで困惑した。しかし、そのことを正確に美少女へと伝えられるわけがなかった。またもや風見はペコっと頭を下げてその場を走り去ろうとした、が、美少女の手がそれを止めた。風見の腕を掴んだのだ。
「ねぇ、アタシ神崎千春!周りに全然ニンジャラーいなくて、ニンジャラーに会えて嬉しい!」
ニンジャラーとはなんだ?風見の頭の中を混乱とともに疑問が駆け抜けていった。しかし風見の頭はそんなことまで冷静に考えている余裕はなかった。
「あ、えと……はぃ……」
そう言って(これを何かを言ったという物事に含めていいのならばだが)、風見は手を振りほどいて走り出していった。神崎に握られた手がプルプルと震えていた。
急いで細い道に入ると、周りを見渡してからホッとため息をついて服を脱ぎ出した。脱いだ服の下からは武道における道着のような黒い服が出てきた。内側のポケットに閉じ込めてあった手袋のようなものをはめて余った部分を袖にしまい、頭と首を隠す黒い頭巾を被ると、傍目から見たら風見とはとても判別できない姿になった。その姿はまさに"忍者"のようであった。
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